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ノマ克哉ハァハァ。下ネタぼんぼん、自重何それ美味しいの?なノリです。お嫌いな方はバックプリーズ。
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唐突ですが、すっっっごく昔に書いたSSを投下。
お蔵入りフォルダに投げ込んであったのですが、内容がコミカライズと若干被る部分があるので、この機会に晒してみる。
ちなみにお蔵入りになった原因は
・短すぎる
・御堂さんとノマのキャラがいまいち迷子
・書き上げた頃にRが発売されて、内容的に本筋と違っちゃいそうだったので
のどれかor全部でした。特に最後の理由は、Rであんなに一室に受け入れられてるノマは、やっぱり引き抜き直後から上手に馴染んでいったのかなーと思ってしまったので。でもコミカライズでそうでもなかったのが判明したから晒します。
タイトルは無いですが、テキストの保存名は「kingyo」www


お暇な方はどうぞー。


「佐伯?あぁ、最近来た御堂部長の金魚のフンか」


その台詞を社内の片隅で聞いた時、自分がどんな顔をしていたのかは分からない。
隣にいた上司兼恋人兼金魚が、その声の方に歩いていきそうになるのを止めるのに必死だったから。

「ちょ・・・っ、み、御堂部長!」
小声で囁いて腕を引っ張るが、御堂は無表情に声の方を見ている。
歩む力のベクトルは変わらずそっちに向いていて、克哉は全力を持って御堂を引っ張った。
無理矢理引き摺るようにして近くの休憩スペースまで行くと、御堂の表情は不機嫌を絵に描いた様になっていた。

「・・・・・なんだ」
仏頂面でこの一言。
克哉は溜息をつきそうになるのを堪えてやっと御堂の腕を放した。
「なんだ、って。御堂部長、今、あっちにいた人達に何を言いに行こうとしてたんですか?」
「説明しなければ分からないのか?」
「・・・オレ、全然気にしてませんから」
しれっと言うと、御堂の表情は一層固くなった。
予想はついていたものの、自分の言葉が足りなかったのかと内心少し反省した。
御堂が何を考えているかは分かる。
あの台詞を聞いて何を思ったのか、どう感じたのか、何を言おうとしていたのか。
そしてそれを止めた克哉に不満があることも。
大きな窓を背にして立つ御堂に向かい合い、その強い視線に軽く首を傾げた。

「本当に、オレは気にしてません。・・・・・その、8課にいた頃はもっと露骨なこと言われたこともありますし」
付け足すように言っても、御堂の表情は変わらない。
「だから、あんなことを言われていても放っておくと?」
「・・・少なくとも、御堂部長に口出ししてもらおうとは思ってません」

声の調子は変わらないまでも、目を逸らさずはっきり言うと、御堂の眉が僅かに動いた。
どんどん増していく不機嫌オーラを隠そうともしないその表情に、さすがの克哉も一歩後ずさった。
「私には関係ないことだとでも言いたいのか」
「そうじゃありません」
間髪入れずに言い返したのが意外だったのか、ようやく御堂の表情が少し緩む。
休憩スペースのベンチに御堂を座らせ自分も隣に腰を下ろすと、克哉はその顔を覗き込んだ。
緩んだとはいえ厳しい光を灯したままの眼差しは、話せと無言で促している。
「・・・部長に、口出しして欲しくないのは・・・・その、こういうのはオレが自分で解決しないといけないと思うからです」
「それは分かる。だがな、佐伯君・・・」
「聞いて下さい」
反論しかける御堂を遮ると、見つめていた瞳が軽く見開かれた。
「今のオレは、正直あんな風に言われても仕方ないと思うんです」
「仕方ない、だと?」
「えぇ」
また顰められる形のいい眉につい苦笑を漏らし、克哉は落ち着いて言葉を続けた。
「今のオレは、MGNに来たばかりで右も左も分からないし、御堂さんの補佐と言ってもまだ仕事らしい仕事は出来てません」
「それは自分を卑下し過ぎだろう」
「いいえ。周りの方から見たら正当な評価だと思います」
「・・・・・新しい職場に来て2週間やそこらで何をくだらないことを。君の実力は私が一番よく知っている」
「そう。それです」
「ん?」
僅かに目を逸らして呟いた御堂の一言に、克哉は嬉しそうに声を上げた。
途端に怪訝そうな顔を見せた御堂に、薄く笑みを浮かべて言葉を続ける。
自分の気持ちを正確に伝える言葉をゆっくりと探り、尊敬する上司兼大好きな恋人に伝えるために。
「御堂さん、オレに言ってくれましたよね?自信を持てって」
「・・・・あぁ」
「御堂さんは、オレに実力があるって思ってくれてるんですよね?」
「当然だ」
「だから、それで十分なんです」
言葉を切って、ざっと辺りを見回す。見える限りの所には、人の影はない。
驚いたように目を見張る御堂を無視して、そっとその手を握り締めた。
「あなたが・・・御堂さんがそう思ってくれていれば、オレはそれでいいんです」
「・・・・・佐伯君」
「他の誰にどう思われてても構わない。御堂さんが、オレを認めてくれていると思うだけで、オレは」
頑張れるんです。
繋いだ手に力を込めると反射的にか御堂の手にも力が篭った。
「佐伯・・・」
「・・・それに、御堂さんが認めてくれたオレが、いつまでもあんなこと言われるような仕事をしてると思いますか?」
わざと悪戯っぽく言うと、御堂はようやく薄い笑みを浮かべた。
「まさか。君はそんなに大人しい男ではないだろう」
「誰に影響されたんでしょうね?」
笑いながら言うと、御堂も笑みを深めて低く喉を震わせた。
握った手が温かい。自信と誇りを与えてくれるこの人の手は、いつだって優しく自分を引っ張ってくれる。
だから、オレは何があったって頑張れる。
きゅっと繋いだ手に力が篭められて、克哉は視線を上げた。
「御堂さん?」
「君は・・・強いな」
噛み締めるようにゆっくりとした口調で言う御堂に、あたたかな気持ちが湧き上がる。
強くしてくれた張本人が、一体何を言い出すやら。
また一つ笑みを零すと、克哉は「あなたのお陰です」と言葉を繋いだ。
「オレは、あなたに相応しい人間になりたいんです」
「・・・それだけ言うからには、さっきの奴らを見返す仕事をしないとな」
「勿論です。ご指導お願い致します、御堂部長」
微笑んで言うと、御堂は一瞬虚をつかれた様な表情を見せた。
しかし、あれ?と思う間もなくその顔は引っ込められ、代わりに悪戯を思いついた子供のような顔が浮かぶ。
「・・・御堂部長?」
「いや、少し、周りの状況を忘れていたようだ。・・・・・・克哉」
「っ!み、みど・・・」
突然呼ばれた恋人としての名前は、甘い響きで思考を麻痺させた。
ここは会社ですよ!と声を上げる前に、柔らかな感触が額に落ちて、すぐに消える。
掠めるように口付けられて、克哉は思いっきり慌てて辺りを見回した。
「み、御堂さ・・・御堂部長!こんな所で・・・!」
「こんな所で、なんだ?さぁ仕事に戻るぞ。のんびりしている暇などない」
「・・・はい!」
キスの件は家に帰ってから釘をさすとして。
自分を信頼してくれている憧れの上司について、克哉は勢い良く立ち上がった。



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プロフィール
HN:
小春
性別:
女性
自己紹介:
重度のノマ受け病です。
御克は新婚さんだと信じています。

プロフィールの激カワ克丼アイコンはTorte様よりお借り致しておりますv


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